BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
「あの。ちなみに今日は何日でしょうか」
 聞きたかったのはそれだ。だが、クラレンスが穴が開くとか穴が開いたとか、穴、穴うるさかったため、聞き忘れてしまうところだった。

「今日は、二十四日だ。パーティから二日しか経っていない」

 二日しか、ではなく、二日もだ。だから、納得した。今、ものすごくトイレに行きたい。だが、目の前にはクラシリ。こんなこと、恥ずかしくて口にできない。けれど、我慢もできない。

「クラレンス様。すいませんが、誰か人を呼んでいただけないでしょうか」

「人? 今、ここには私とシリルの二人がいるのだが。これでは不十分か?」

「あ、いえ。その、できれば女の人をお願いしたいのですが」

 シリルが「クラレンス様」と口にする。さすが空気の読める男、察しのいい男は違う。

「君とはまだ話したいことがたくさんあるのだが」

「はい、私もクラレンス様にはお聞きしたいことがあります。ですが、今は……」
 トイレに行かせてください。と言いたいが、言えない。

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