BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
「ジーニア嬢ですが。学院卒業後は、アマリエ様の侍女としてこの王宮に務めることになっております」

「リィの……」
 そこでクラレンスは顎に右手を当てた。これは、何かしら考えているとき、ではなく悪だくみしているときのクラレンスの癖だ。そして彼は、八つ年下の妹を可愛がっている。だが、アマリエはそれが鬱陶しいと思っていて、クラレンスの顔を見るたびに、毛虫を見るような冷たい視線を投げつけてくる。

「これは、好機かもしれない……」
 クラレンスはまだ右手で顎をさすっている。
 何の、とシリルは心の中でツッコミをいれた。いくらシリルであっても、この状況のクラレンスを止めることはできない。そして、これだけクラレンスが興味を示したジーニアに、シリル自身も興味を持ち始めたのだった。

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