Re.start
大人な対応
✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼
「先生、今日はごめんね…。なかなか連絡が出来なくて。」
蓮と別れて自宅に避難してから、急いで先生に電話をかけた。
結局、蓮はあの後自宅にまでついてきた。
私を紳士的に家まで送り届けたつもりなのか。
それとも、本気で私と先生の仲を引き裂くつもりなのだろうか。
…いや、考える必要もない。
彼の選択は間違いなく後者。
『何か連絡出来ない事情があったんでしょ。』
「あ…うん。」
『その代わり、何処かで必ず埋め合わせしてね。』
「勿論!絶対、ぜーったいするからね!」
先生はいつも冷静。
心が狭い誰かさんとは違って、目の前で彼女の肩を抱かれたくらいでは簡単に動揺しない。
これが蓮なら、間違いなく相手の襟元を掴んで拳を上げるだろう。
蓮の性格は知り尽くしてるから考えなくてもわかる。
「先生…。」
『…うん?』
「柊くんにヤキモチ妬いちゃった?」
あの時の先生の心境が知りたかった。
先生は感情を取り乱したりしないから、先生の口から聞きたいと思っている。
勿論、ヤキモチを妬いて欲しい。
『妬いたよ。でも、教師という立場上、表情には出せないし…。』
「…うん、わかってる。」
そう、わかってる。
だけど、男は今まで蓮しか知らなかったから、平静を装う先生にはもう少しムキになって妬いて欲しかった。
先生の対応は教師として正解だと思うけど…。
その冷静さが少し物足りなくて、たまにもどかしく感じる。