Re.start
小さな不満
先生は確かに生徒達に人気なんだけど…。
私には不満がある。
9歳年が離れているせいか未だに子供扱い。
誕生日を過ぎたから、もう18歳。
先生から見ると子供かもしれないけど、私だってもう立派な成人。
まぁ…、生徒だから仕方ないんだけどね。
先生と個人的に関わり始めたのは半年前。
蓮と別れたその日に私は教室で一人泣いていた。
その時、たまたま付近を通りがかった高梨先生は、教室でポツンと一人泣いている私に気付いて傍へとやって来た。
「菊池さん…。泣いてるみたいだけど、どうしたの?…学校で何かあった?」
机にうずくまって泣いている私を心配そうに見つめ、スーツのポケットからハンカチを取り出して目の前に差し出す。
「ズビッ……何でもないです…。」
勢いよく鼻をすすってそう言った。
先生からハンカチを受け取ると、溢れ出す涙を拭う。
…でも、その日はそこまで。
先生は何も話そうとしない様子に気遣い、そっと教室を出て行った。
そんな状況が度重なり、少しずつ心を開くように…。
いつしか親密になって恋愛感情へと発展していった。
家に行く度に身体ばかり求めてくるガキの蓮とは違う。
主張やワガママを聞いてくれるし、リードもしてくれる。
会話やデートを楽しむのが先生式の恋愛。
誰かさんとは天地の差。
先生は私の気持ちを優先してくれるから。
今まで蓮しか知らなかったから、大人の包容力をもつ先生がとても新鮮に感じている。