占い師はイケメン総長に愛される🌙.*˚
「よし、行こうか」
「うん」
 外に出て、彼の青いバイクが停めてある駐車場へ。

 私の分の白いヘルメットも持ってきてくれていて、受け取ろうとしたらかぶせてくれた。

 かぶせてくれて、そして緩んでいた顎紐をきつく締め直してくれた。彼の手が私の顎に触れ、距離が近くて。

「自分で出来るのに……」

 照れる気持ちを隠すように私はそう言った。素直に「ありがとう」って言えばよかったのに。
 
 先に彼がバイクにまたがりエンジンをかけた。
「後ろ、ひとりで乗れる?」
「うん、大丈夫」

 後ろに乗り、掴まる場所を探していると、彼が言った。

「しっかり、俺に掴まってて」
「ど、どこに掴まればいい?」
「手、出して?」
 質問すると彼の手が後ろにいる私の手を掴んだ。
「こんな感じで俺に掴んどいて?」
 彼は私の手を引っ張り、私の手は彼の腰をがっしりと掴んだ。
「走って怖くなったら、思い切り抱きついていいから」
 触れるだけでかなり今ドキドキしているのに思い切り抱きつくなんて、無理!って思っていたのに。

 バイクが大きな音をたてるのと同時に走り出した。最初はゆっくり走ってくれたのかな? 結構余裕だったけれど、途中から加速して。結局思い切り抱きつく感じになった。

 私の心臓の波が大きくなる。
 この波は、バイクの走るスピードが増したからなのか、それとも彼に触れる面積が増えたからなのか。

 多分、今、彼に沢山触れているから――。

 信号に引っかからずに走ってるから、まるで今、自分が風と同化したみたいな気持ちになっている。怖いなって気持ちもあるけれども、それより気持ちがいい。何かからの開放感のような、自由になれたような。
 バイクに乗ってひたすら走っている人たちの気持ちがなんだか分かるような気がする。

 多分、30分ぐらい走ったかな?

「着いたよ!」

 バイクが停まった。
 私は彼よりも先に降りた。

 風が当たってたからか、目が乾き、瞬きを沢山した。

「あのね、バイク、想像以上に楽しかった!」
「そっか、良かった」
 彼は優しく微笑んだ。
 

 

 
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