『四つ葉のクローバー』花言葉シリーズ
軽くうなずいてから黒川の横の空いている席へ向かう。短い距離なのにとても長く感じた。途中で膝の力が抜けそうになるのを必死でこらえる。なぜなら…

「冴木さん済まないね。じゃあここに座って。これなんだけど…ここの数字が…」

椅子を引いて座ると、黒川はわたしの目の前へ分厚いプリントの束をスウッと押しやった。そこにはペンでこう書かれたメモがあった。

"急に気分が悪くなったからトイレに行かせてほしいと言え。私が介添えを申し出る。おまえを抱きたくなった"

わたしは小さくうなずいた。逆らえない。なぜなら、黒川はわたしの"あなた"だから。わたしはあなたのものだから。
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