初恋の始め方
「俺が小峰さんを好きだから」
ただのその一言は、この場にいる全員にとって強烈な破壊力を持っていた。
だって、きっと、高瀬くんはそれを巧妙に周りに隠していたから。
「ま、フラれてるんだけどね」
自虐とも取れる呟きを空気に乗せた高瀬くんが、そっとこちらに近づくのが視界の端に映った。
「!」
それに条件反射で体を後退させると、ドン、とすぐ後ろにいた誰かにぶつかる。
……本当に最悪。
こうやって私の周りを敵だらけにして、そこにつけ込む手口なのは分かっている。
優しい言葉も、真剣な瞳も、全部が欺くための罠だ。
騙されない。
もう、絶対に騙されない。