再会は光の中で~ひっそりと子育てしていたら、あなたの愛に包まれました~
6.彼の元で
仕事を終えた週末の夜、玄関でドアを叩く音がする。こんな時間に誰だろうと恐る恐るドアを開けると、スーツ姿の紘登だった。
「連絡を入れても出ないから、迎えに来たよ」
そう言えば、スマホの着信音を消しているままだった。千帆を保育園へ迎えに行って、夕食を作ったりで、夕方はバタバタしていたから気づかなかったらしい。
「ご、ごめんなさい」
「さぁ、すぐに準備して。日曜の夜までは俺と一緒に過ごす約束になっているはずだ」
奥から不思議そうな顔をした千帆が現れた。
「あー! お城の人だ」
千帆はすっかりシャイニーワールドのお城を管理している人だと思っている。
「お城じゃなくて、ヒロでしょ」
「千帆ちゃん、またお城へ行きたいだろ?」
「うん!」
すっかりご機嫌になった千帆は、お気に入りの犬のぬいぐるみと、普段使っている小さなリュックを持ち出し玄関へ向かった。私も抵抗することを諦めて、二日分の身支度を整え、玄関を後にした。
アパートのそばには、建物とは不釣り合いの、黒塗りの高級外車が停めてある。紘登が車のドアを開けてくれると、千帆のために用意されたチャイルドシートに乗せてくれた。私はふかふかなシートに乗り込むと、紘登はエンジンをかけた。