イケメン俳優パパ『生田 蓮』に恋をして――。
 パンフレットを彼と眺める。乗り物一覧表や地図が載っている。身長制限や年齢制限で子供たちが乗れないものもあるけれど、思ったよりも乗れるものが多くて、楽しめそう。

「どれから乗りましょうか?」
 私は彼に訊ねる。
「そうですね……。まずはここからスタートして、ここまで乗ったら、ちょうどお昼ご飯の時間でしょうか? それから……」

 彼はテキパキと計画を考えて、伝えてくれた。

 まずはゆっくりめの乗り物から。
 速く動く乗り物とか、子供たちは大丈夫かな?って私は心配していたけれど、意外にはしゃいで「もう一回乗りたい!」なんて言い、楽しんでいる様子だった。

 柚希が楽しんでいる姿を見て、私はとても幸せな気持ちになった。

「お昼ご飯にしましょう!」

 鞄からスマホを出し、時計を見ると、十二時十五分。彼が予想した通りの時間。午前の部は、時間があっという間に過ぎていった。

 大きな建物の中へ。そこにはテーブルや椅子が沢山並べられていて、軽食系、ガッツリ系、両方の食べ物屋も並んでいる。

 昼時だから混んでいた。
 空いている席を探す。

 ちょうど四人掛けのテーブルが空いていたから、そこに座った。

「何か食べたいものある?」
 彼は子供たちに質問する。
「私、ポテト!」と柚希が先に答え、続けて斗和ちゃんが「あれ食べたい!」と、売り場の上にある、フランクフルトの大きな写真を指さした。

「江川さんは、何か食べたいものありますか? 僕、買ってきますから、子供たちと待っていてください」

「ありがとうございます。私は……」

 私はこういうのを決める時、いつも時間がかかってしまう。早く決めないと。座りながら見える大きなメニュー表を見ながら、ちょっと焦る。

「お任せでも大丈夫ですよ? 苦手なものありますか?」
「すみません。じゃあ、お任せでお願いします。苦手なものは、ないです」

 彼は微笑むと、売り場に向かった。

 まずは子供たち用に、ポテトとフランクフルト、そしてサンドイッチセットを買って持ってきた。もう一度彼は売り場に行き、次はラーメンとカレーライス、そして、取り分ける用のお皿とお椀を持ってきた。

 取り分け用の器は、子供たちのかな?って思っていたら「どれ食べようか迷ってしまって……。もしよければ、ラーメンとカレーライス、半分こずつ食べませんか?」って。

 迷って? 嘘! だって、映画を宣伝するために彼が出演していた、日帰りツアーの番組。それを録画して何回も観ていたんだけど、ランチの時に、彼が餃子定食を選ぶのが早すぎて共演者に「選ぶの早すぎますね!」って言われてた。しかも彼「いつも迷わないですぐに決まるんです」って。

 私のこと考えてくれたのかな?
< 23 / 47 >

この作品をシェア

pagetop