Macaron Marriage
* * * *

 華子の出勤時間に合わせて車で萌音の家へと車で向かった翔は、タイミングよく門を開けて中へ入ろうとしている華子に出会うことが出来た。

 翔に気付いた華子は瞳を輝かせて車に駆け寄ってきたため、翔は車の窓を開けて頭を下げた。

「おはようございます。朝早くからすみません」
「いえいえ。萌音さんに会いに来てくださったんですよね。昨日のはあんな様子でしたから……翔さんが来てくれたのなら元気も出るでしょう。今門を開けるのでお待ちくださいね」

 華子はそう言うと手動で門を開ける。そこを翔は車で抜け、いつもの駐車場に停めた。その間も華子は室内には入らずに翔がやってくるのを待っている。

 何か話したいことでもあるのだろうか……そう察した翔は、車を降りると華子の元へ歩いて行く。すると華子は珍しく眉を寄せ、元気のなさそうな顔を見せた。

「何かありましたか?」
「じつは……昨日の夕方に旦那様がこちらにいらしたんです」
「……そうだったんですか。社長は何か言っていましたか?」
「……今日お昼に婚約者と顔合わせをするからと……。萌音さんはまだ早いと言ったのですが、旦那様には聞いてもらえず……」
「萌音は?」
「相当落ち込んでいたようで……昨日は自室に籠ったまま出ていらっしゃらなくて……。声はかけたんですが、私は時間になって帰宅しました」

 やはり想定していた通りの事態になっていたのか……翔は思わず唇を噛み締める。

「ありがとうございます、華子さん。私が萌音の所へ行きますので、軽い朝食の準備をしていただいでも構いませんか? 萌音のことだからまだ食べてないと思うので」

 翔が言うと、華子はようやく安心したような笑顔を取り戻す。

「わかりました! では萌音さんのことをお願いいたします!」

 華子は鍵を開けると、翔を招き入れる。それから自身はキッチンへ、翔は階段を昇って萌音の部屋へと向かうのだった。
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