放課後の音楽室で
第17章 踏み出す一歩
すっかり雪が積もりきった日。今日は大学の合格発表。

俺と佐久間は同じ大学だから、発表の日時も一緒。

お互いに、結果が良いものであったら連絡する事にしていた。

発表時刻ちょうどに、インターネットで大学のホームページを開く。

教育学部のページを見つけ、ドキドキしながら自分の番号を探す。

あっ

「…あった」

俺の番号…だよな。

「…よしっ」

自分の部屋でガッツポーズをし…拳を天井に突き上げる。

よかった…。

ブーッブーッ

スマホに佐久間からメールが届く。

メールが来たってことは…

「…よかった」

メールを開いて、佐久間の文面を確認する。文字で確認して、俺は再びガッツポーズをした。

よし、今から学校に報告しに行かないと。佐久間も来るはずだから、その時におめでとうって直接言おう。

久々に袖を通す制服。ひんやりとした感触が、背筋をピンっとさせる。

「あら、制服ってことは…おめでとう!」

階段を降りると、洗濯カゴを持った母さんが俺を見て、全てを察した。

「今日の夜はお寿司ね」

笑顔の母さんに照れ臭さを隠して頷いて、靴を履いた。

外に出ると、まだまだ冷たい風が体を包み込んだ。

4月から、無事に大学生か。

気持ちがとっても軽くて、足取りもスムーズだ。



< 107 / 120 >

この作品をシェア

pagetop