放課後の音楽室で
母さんは強引に、困惑する佐久間を脱衣所に連れて行った。

そして、すぐに戻ってくると、さっきとは一変、真面目な表情で、俺を見た。

「…あの子、佐久間さんよね?何があったのか教えてちょうだい」

俺はリビングの椅子に座って、母さんの入れてくれた温かいココアを飲みながら事情を説明した。

進路のこと、婚約者と会うこと、さっき佐久間のお父さんに言われたこと…。

母さんはただ黙って、俺の話に耳を傾けていた。

話終わると、コーヒーを一口飲んだ母さんは一言、

「そういうところ、お父さんそっくり」

「えっ?」

怒られると思ったのに、呆れた表情で笑った母さんは、俺の額にデコピンをした。

いって…

「なんの策もなしに、女の子守れるわけないでしょ。ましてや、佐久間さんのご両親のようなご立派な方だと…」

「…はい」

「でも…文乃ちゃん、頑張ったんじゃない?その頑張りの背中は押してあげたい、かな…」

優しく微笑んだ母さんを見て、俺はほっと胸を撫で下ろした。

「圭介、まだ高校生だけど、自分の言動には責任は持たないといけないのよ?出来る?」

「うん。やる」

まずは、今から必死こいてできるところまで勉強頑張って、いくって決めた大学に合格すること。

そして大学卒業する時も、ちゃんと職につく。

それは必ず、成し遂げないといけないことなんだと思ってる。
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