放課後の音楽室で
第14章 将来のこと
月曜日の朝、玄関を出ると、門のところに上田くんが立っていた。

「上田くん!」

「おはよう、佐久間」

「おはよう。待っててくれたの…?」

そう尋ねると、上田くんはちょっと照れくさそうに、

「うん」

と言って笑った。

上田くんの笑顔に、胸がキュンとする。

「来るとは分かってるけど、もしかして何かあって休んだら…って色々心配になって」

上田くん、色々考えてくれてたんだ…。

「…ありがとう」

嬉しくて、頬の筋肉が緩む。

ふと、ふわっと上田くんの手が私の頭を撫でる。

「…佐久間、色々頑張ったな…」

「ふふ…」

触れられたところが温かくて、恥ずかしさが込み上げる。

「あー、いちゃついてるー」

突然聞こえた、私のよく知っている声にどきっとして、慌てて振り返ると、そこには呆れた表情の怜ちゃんが立っていた。

「怜ちゃん!どうして?」

怜ちゃんの家は逆方向。むしろ私の家に来る方が学校から遠ざかってしまうのに。

「文乃にひさしぶりに会えるんだもん」

怜ちゃんはそう言うと、私をぎゅっと抱きしめる。

私の家の前に2人がいることがすごく嬉しくて、やっぱり学校に行けるって素敵だなって思えてくる。





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