誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
 それにしても、先ほど天音が話した内容を思い出す。きっと自分も不利になると思って、結婚をどうしてもしたかった理由を話さなかったのだろうが、酔った勢いで全部話してしまった。

 しかし、それは俺の想像している内容ではなく、まさか宮下の為ではなかったと知る。天音が結婚したかった理由が、宮下から出たかったからだなんて。宮下の家で天音が虐げられていたなど、考えたこともなかった。
 
 どれほど辛い過去を乗り越えてきたのか。まだ知らないことはあるのではないか。
 
 そっと天音の寝顔を見ながらスマートフォンを手にする。そして松前にメッセージを送った。いつでも調べますと言った彼女の言葉が本当になってしまったことは癪だが、妻のことを知っておくことは、夫として当然だと自分に言い聞かせる。
 
 そして、もう一度彼女に視線を向けた。
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