BODY BLOW ~Dr.剛の恋~
サイレンの音が店の前で止まると、ドタドタと店内に人が入って来た。
いかにも体格のいい男性警官たち。

「皆さん、その場を動かないでください」
途端に、男たちの動きが止まる。

あてだけ威勢の良かった男たちなのに、何の抵抗を見せることもなく拘束され店内に連れ出された。

何なのよ。
さっきまでの勢いはどこへ行った?

「宝さん、大丈夫ですか?」
裕貴君が駆け寄ってくれる。
「ありがとう。大丈夫だから」
言いながら、周りを見る。

テーブルが倒れ、食器や料理が散乱している。
ひどい・・・.

「立てますか?」
駆けつけた女性警官が手を差し出す。

私は何とか立ち上がった。

痛っ。
背中に痛みが走る。

「宝、大丈夫?」
腹部を中心に殴られていた鈴子も駆け寄る。

「鈴子・・・」
呼びながら、涙がにじむ。

鈴子は体を中心に殴られ、顔にも傷が残る。
私も背中が痛み、顔や腕にも血がにじんでいる。

「救急車を呼びました」
年配の男性警官が告げる。

「私は大丈夫です。怪我をされたお客様や従業員がいればお願いします」

幸いなことに、お客様にもバイトたちにも怪我人は出なかった。

「受診の必要が無いようでしたら、お二人には警察で事情聴取を受けていただきます。大丈夫ですか?」
改めて確認する女性警官。

「大丈夫です」
そう言うとパトカーに向かう。

「裕貴君、悪いけれど後をお願いします」
頭を下げる。
本来バイトの仕事では無いことは分かっているけれど、今はそんなことは言っていられない。

「大丈夫です」
緊張気味の笑顔に送られて、私と宝は警察へ向かうこととなった。
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