モテ基準真逆の異世界に来ました~あざと可愛さは通用しないらしいので、イケメン宰相様と恋のレッスンに励みます!

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「みりょ……、そうかな!?」
 正面切って言われると、照れくさい。だが榎本さんは、大真面目な様子だ。
「会社にいた頃の北山さんも、悪くはなかったけど。少し無理をしてるというか、不自然なところがあった。でも今は、そういうのが無くなって、すごく自然体。素直で、可愛い子って感じだよ」
「あ、ありがと……」
  何だか、赤くなってしまう。私は、勇気を出して告げた。
「私さ、榎本さんに謝らないと。実は私、前は榎本さんのこと、ちょっと苦手だったんだよね。あ、榎本さんがというか、サバサバした感じの女子が苦手で。ていうのは、昔、そういうタイプの女の子にいじめられたことがあって。だから反発してたんだけど、榎本さんは本当に気持ちのいい性格の人だと思う。いっしょくたにして嫌って、悪かったなって、今は思ってるよ」
 榎本さんは、意外そうな顔をした。
「そうだったんだ」
「うん、ごめん……」
 一口にサバサバ系と言っても、本当に色々だ、と私は実感していた。皆が、カロリーネやミユキちゃんみたいな人ではない。メルセデスや榎本さんのような良い人だって、いる。それがわかっただけでも、この世界へ来てよかったと思えた。
「謝らなくていいよ。……逆に、それを聞いてほっとしたかな」
 え、と私はきょとんとした。榎本さんが微笑む。
「この世界に巻き込んじゃったこと、ずっと申し訳なく思ってきたけど。でも北山さんが、そういう風に変われて、本音も言ってくれて。良かった面もあったんだなって」
 そして彼女は、とんでもない言葉を続けた。
「でもって、恋人もできたんだよね?」
「は!? 何それ。いないけど?」
 私は面食らったのだが、榎本さんはニコニコしている。
「隠さなくてもいいよ。北山さんは可愛いから、異世界でもモテて当然……」
「一体、誰のことよ?」
 榎本さんは、一転、怪訝そうな顔になった。
「え、グレゴール様の恋人になったんじゃないの?」
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