浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~

いえ、やっぱり信じられないんですけど……

 わたしが殺し屋じゃないことは当たり前すぎる。「黒バラの葬送」の黒バラことエルバみたいなことを、品行方正で正直者で真面目で虫の一匹殺せないわたしがするわけがない。そんなことは、太陽と月はこの世界に一個しか存在しない、という事実と同じくらい信憑性のあることよ。

 だけど、恋愛ってことになると……。

「もしかして、信じてくれていないの?かんがえてみてくれよ。セシリオがやっていることは、一つ間違えば犯罪だ。詐欺に不倫、自殺者だって出ている。不倫相手とか寝取った相手とかに暴力を振るわれることだってある。ヒモ状態で貢がせるだけ貢がせもする。幼女から老婆まで、見境もなくイチコロにさせる。もしもぼくがジゴロのセシリオのようなことを日常茶飯行っていたら、とっくの昔に牢にぶちこまれているか、どこかの男性にぶち殺されているよ」

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