浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「ヒヒヒン」
「ヒヒーン」
「ぐわっ」
「ぎゃあっ」

 馬の嘶きと人間(ひと)の悲鳴が重なった。

 その後に訪れた静寂。

 作中でよく使うパターンだけれども、恐る恐る瞼を開けてみた。

 わたしの作中では、危機一髪のヒロインの前に黒バラことエルバが立っているのよ。彼女は、狩猟用の帽子をかぶっている馬上の二人ともを、跳躍して華麗なナイフさばきであっという間に再起不能にしてしまう。

 そんなカッコいい登場シーンは、わたしの憧れでもある。

 こんなふうに困っている人や助けが必要な人の前に、颯爽と、それでいてクールに現れたい。

 さて、リアルにはどうかし……ら……。
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