浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~

理不尽には理不尽を

 あのベレー帽の男が、兵士たちをかきわけてドーンという感じで現れた。

「あいつよ。あいつが、このわたしをいわれなき誹謗中傷で叩きのめしたのよ」

 右の人差し指を「ビシッ」っとベレー帽の男へと向け、断言をした。

「な、なんだと?なんだ、変わり者のメイドじゃないか」

 彼は、またわたしに理不尽極まりない言葉を叩きつけてきた。

「ちょっときいた?いまの、きいたわよね?ずっとあんな調子なのよ」
「クミ。ああ、きいたさ。きいたから、ちょっとだまっていてくれないか?」

 アニバルが、しゃしゃり出てきた。

「おいっ、これはどういうことだ。その軍服は、ブリオ公爵家の私兵が着用している軍服だな。ブリオ公爵家が、なぜ隣国にまで出張って騒ぎを起こす?っていうかおまえ、どこかで見た顔だな」

 そして、彼が吠えた。

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