浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~

あんたには尋ねてないし

 チラリと周囲に視線を送ると、この場にいる全員がアレックスに注目している。

 いえ、訂正。

 アニバルだけはヨレヨレの襟をムダに直したり、皺だらけのズボンを引っ張り上げたりしている。

「いやあ、用があるかどうかはまだわからんな。だいたい、きみのこともまったく知らないし」

 そのアニバルが指先で顎をかきながら言った。

「あんたじゃないわ、小太りさん」

 おおっ、自称「慈善活動家」さん。なかなか言うわね。

「小太りさんだと?こういうのは筋肉質っていうんだ。ふんっ、なにが「慈善活動家」だ?貧しい人たちに金貨を配っているのか?それとも、環境改善に貢献しているのか?そんなわけはないよな。このモリーナ王国とアラニス帝国、それから周辺の国々で「貢献と奉仕」をモットーに活動をしている集団は、その「貢献と奉仕」といっても困っている人や助けが必要な人たちに対してではない。つまり、慈善活動を掲げて悪のかぎりを尽くしているってことだ」

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