浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「あー、クミ。ちょっといいかな?」
「アレックス。あなたはだまっていて。あなたを殺すかどうかの瀬戸際なんだから」

 せっかくアレックスの生殺与奪の権について話をしているのに、その彼が邪魔をしてくる。

「お願いだ。ちょっとだけきいてくれないかな?」

 アレックスったら。しつこいわね、もう。

「いいわ。ちょっとだけよ」
「彼らは、ぼくを殺しに来たわけじゃない」
「またまたぁ。アレックス、あなたって人がいいところがあるものね。あのベレー帽の男の嘘を信じじゃダメよ」
「信じるとか信じないとかじゃない。ほんとうに殺しにきたわけじゃないんだ。アニバル、きみからも言ってくれよ。それからドロテオ、きみもだ。だいたい、きみらが悪ふざけをするからじゃないか」

 アレックスは、アニバルからベレー帽の男に視線を移した。

 んんんんん?いったい、どういうこと? 

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