浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「おっと」

 小説まんま君は上半身をさっと折ると、数冊の本が床に落ちるまでにうまくキャッチしてくれた。

「たくさんの本ですね」

 姿勢を正した彼と、真正面から見つめ合う。

 目の保養だわ。

 元夫のセシリオは、見てくれだけはよかった。ほんとうに見てくれだけは、だったけれど。

 だけど、それは常識の範囲内の良さだった。

 が、小説まんま君はそれを超えている。まさしく、創作の世界にしか出てこないような美しさといえるかもしれない。

 キラキラしすぎていて長くは見ていられない。

 本が減ったお蔭で、眼前に手をかざすことが出来る。だけど、さすがにやめておいた。

 変な女だと思われるかもしれないから。

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