浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「やあ、昨日はどうも」

 約束の時間のすこし前、アレックスがやって来た。

 今日は、真っ白なシャツにブラウンのジャケット、同色のスラックスという恰好で、シャツの第一ボタンをはずしている。

「こちらこそ。葡萄酒、おいしかったわ。そういえば、モリーナ王国の葡萄酒って赤も白もロゼもシャンパンも最高よね」

 アレックスを招き入れる為に玄関の脇にどいた。

 彼の肩に、モフモフがちょこんと乗っている。

 やだ……。やっぱりモフモフ最高すぎるわ。

「よく来てくれたわね。さあ、こっちにいらっしゃい」

 満面の笑みでモフモフに話しかけつつ、アレックスの方に両手を伸ばした。

 すると、アレックスがその両手をつかんだ。

 えっと思う間もなく、彼はわずかに腰を落としてわたしの手にさっと口づけをした。

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