キスだけでは終われない
水曜日、相変わらず悶々とした状態でいたら、彩未ちゃんから電話がかかってきた。
「もしもし、カナ?今、大丈夫?」
「うん。何かあった?」
「あのね、前にシンガポールでうちの服を失くしたって言ってたわよね?」
「うん。ほら帰国前日の一緒に過ごした人が汚してしまったからって、着替えてそのままになっちゃったのよね」
「やっぱりそうだよね。実はね、うちのお店にあの服を持ってきた人がいたらしいの。それでね、購入した人に連絡してほしいって名刺を置いていったらしいの」
「名刺…」
「それでその人っていうのが、あの須藤ホール…」
「須藤ホールディングスの副社長なんでしょ」
興奮気味に話すアヤちゃんの言葉に自分の言葉を重ねてしまった。
「この前、片山さんと参加したパーティが須藤さんのお祖父様のお祝いだったの。そこで会って…片山さんの大学時代のお友だちだって紹介された」
「えっ?!ちょっ、ちょっと待って。それってもうその人と会ったってこと?」
「そう…」