キスだけでは終われない
「今日は逃げられないように見張ってた」
「え…私眠って…」
「うん。お腹空かないか?先にシャワーにする?」
どれくらい眠っていたのか外は暗くなっていた。
ルームサービスを頼み夕飯を食べ終えると、高層階からの夜景を眺めていた。
「今日も月が綺麗に見えますね」
私の言葉に横にいた柾樹が話し出す。
「今日もいきなりでごめん。本当に我慢できなかった…順番が逆になってしまったけど…これ」
「これ」と言って、目の前に差し出されたのは正方形の箱。彼は私の前で片膝をつき箱を開けた。
「高梨香苗さん。俺と結婚してください」
あまりの急展開に驚いたものの、断る理由なんて思い浮かばない。あの日からずっと好きで、忘れられなかった人からのプロポーズ。
「はい」
嬉しい想いが溢れてきて、そう一言だけ返した。すぐに彼からギュッと抱きしめられる。
「よかった」
笑顔でそう言って私の左手の薬指に指輪をはめてくれた。
「これほど緊張したことはなかったよ」
柾樹は私の顎に手をかけ上を向かせると、キスをしてきた。何度も何度も触れては離れるキスを繰り返して、しだいに深くなっていく。
キスに夢中になっていると「ダメだ。もう止まらない」と囁かれた。
きっと今夜もキスだけでは終われない……。


