更生係の憂鬱生活

すっきりしたのか、晴れやかな表情を浮かべた代那は私の手に自らの手を伸ばす。


『えっ』


スルッと手を掴まれ、そのまま握られる。


「靴箱まで一緒に行こ」


唐突のスキンシップに動揺しつつも、断る隙がなく。

歩き出した代那に引っ張られ、私も歩き始めた。

前を向いたまま、代那は呟くように言った。


「…止めに来てくれて、ありがとう」


顔は見えなかったけど、貰った言葉に私は目を見開いた。

お節介だったかな、と少しだけネガティブになってた気持ちが救われた気がした。


『…どう、いたしまして』


素直な感謝の気持ちに、私は照れながらも
純粋に受け取って置くことにした。




ー…代那、“更生ルート”へ一歩踏み出す。




< 30 / 104 >

この作品をシェア

pagetop