愛しているのは私だけ…
「ただの言い間違えだから!象牙海岸がコートジボワールだってことぐらい、私だって知ってます」

「はいはい。翡翠、見つけられなくて残念だったね」

残念なんかじゃない。

大好きな人と遠くまで出掛けて、丸一日一緒に過ごせて、幸せだった。

だけど…ハイウェイの看板を見上げると、最寄りのインターチェンジまでは、もうすぐだと表示されてある。

降りたあとは、ほんの10分程度で部屋に着いてしまう。

いつだって、このカウントダウンが淋しくて仕方ない…。

そして、無情にも車は私の部屋の前に停まる。

私は、言いたい言葉を切り出すか否かで揺れ、黙って俯いてしまう。

「どうしたの?」
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