Diada de Sant Jordi ~サン・ジョルディの日に芽生えた恋~
「エルちゃん、顔を上げて?」

そう言われ、恐る恐る顔を上げる。

「びっくりしたけど…嬉しいよ!なんか、まさに夢でも見てるみたいで」

「夢じゃないから…ホラ」

そう言って、軽くイタミンの頬をつねる。

「あはは、痛くはないけど感触はしっかりある」

「でしょ?」

「だけど…。ひとつお願いがあるんだ」

イタミンが珍しいことを言う。

「なに?」

「ラジオの告白もロマンチックでよかったけど、今度はエルちゃんの声で聞かせて…?」

優しい瞳を見つめながら、私は、たった二文字の言葉を、やっとのことで初めて口にした…。
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