冷徹上司の過剰な愛
腕時計に目をやるなり二度目のため息。


本当ならあと1時間で帰れたはずなのに……っはぁ。


デスクに散らばる書類たちをとりあえず整理してパソコンと向き合う。



『難波さん、今日一段と機嫌悪そうだよねぇ。』


『うんうん。あれは絶対プライベートでなんかあったに違いない。女絡みかも…?』


『浮気がバレたとか?もしくはされた側だったりして〜?』


『えぇ〜、それはないでしょ。あれは加害者じゃない?難波さんモテるし、女がほっとかないでしょ。』


『確かに。難波さん顔はタイプなんだけど、あの性格が問題なんだよね〜…でも案外彼女には優しかったりして?』


『うわぁ、あり得るっ。そのギャップいいよね〜!』



……っ、…。


斜め前から聞こえてくる会話に心拍数が爆上がり。


その理由は、彼女たちの予想がほぼほぼ当たってるからだ。難波さんのことをよく理解している。


もしかしたら彼女のわたしより難波さんのこと…。


いやいやいや、難波さんのことを一番理解しているのは彼女のわたし!!…だと思いたいけど、正直そこまでの自信はない。


だって難波さん……


会社とプライベートでの差があまりにも違い過ぎるから。さすがにそれには理解に苦しむ!(難波さんの口癖真似てみた。)
< 2 / 230 >

この作品をシェア

pagetop