死体写真
私はそれを実行しただけ。


そう思っているのにやけに喉が乾いて、呼吸が乱れた。


ここだけ酸素が薄くなっているのではないかと疑うほど、苦しい。


それは紛れもなく罪悪感のせいだった。


裕之を守るために、なんの面識もない少年をこの手で突き飛ばした。


あのときの感触はまだリアルに両手に残っていて、強く拳を握りしめる。


「そんなこと言ったって……!」


裕之がすべての言葉を言う前に、そのスマホが震えていた。


無意識の内に小さく悲鳴があがる。


裕之も肩をビクリとはねさせた。


そして恐る恐るスマホ画面を確認する。


そこにはメールが1件届いたことを知らせるアイコンが出ていた。


アコのメールを削除したときのことを思い出して、また背筋が寒くなった。


メールは削除しても何度もターゲットのもとに送られてくる。


だけど今回は違うはずだ。


呪いメールに返信できたのだから!


もう1度呪いメールが送られてきたとすれば、もう私達に成すすべはない。


死ぬと知っていながらなにもせずにジッと待っているしかないのだ。
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