死体写真
けれど、気になる存在だった。


「葬儀に来てたってことはアコの友達だよね?」


「たぶん、そうなんだと思う」


いいながらも首をかしげる。


アコの友人にしては無表情で、涙のひとつも流してはいなかった。


葬儀に参加した人全員が泣かないといけないわけではないけれど、それにしては蛋白な印象だったのだ。


声をかけて、引き止めるべきだったかもしれない。


今更悔やんでも仕方がないけれど、なにかヒントを聞き出すことができたかもしれない。


そう思ったときだった。


視界に《また高校生の自殺者か》という見出しを見つけて手を止めた。


加菜子と顔を寄せ合ってその小さな記事に目を通す。


《9月○日。17歳女子高生の遺体が河川敷に打ち上げられる。これで10人目》


10人目という数字に目が釘付けになる。


ニュース番組で見た限りでは3人目だと伝えていたけれど、それは自殺だと断定できる人数なのだろう。


新聞の中では自殺と思われる人数すべてがカウントされているため二桁を越えているのだ。


《河川敷で発見された少女は死亡が確認される。死因は溺死。外傷はなく橋の上から転落したものと見られる》


「見てここ」
< 42 / 155 >

この作品をシェア

pagetop