クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
なんとなく、欲しいと言えばすぐに用意される気がした。試すのは気が引けるから、本当に必要になった時にそれとなく聞いてみる事にする。

「中は好きなように使っていい。食事や飲み物もメニューリストの中にあるものならば、すべて用意できる」

「そうなんだ……」

 それしか言えなくて、いつでもオーダーに応えられるよう控えたスタッフに目を向ける。

 高級ホテルでは専属のバトラーがつくと聞いた事があった。だけどここにいるスタッフの数は、私たち二人に対して多すぎる。

「こちらがメニューでございます」

 私の戸惑いの視線を別の意味で受け取ったのか、若い男性スタッフが革張りのメニューを差し出した。

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