激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「早川さんの仕事は丁寧だから助かるよ」
「ありがとうございます」

 ねぎらいの言葉に、少し照れながら頭を下げた。

「早川さんは契約社員だったよね。そろそろ雇用契約の更新時期だけど、この先どうするか決めてるのかい?」
「できれば更新したいと思っています」
「もし正社員になる気があるなら、私から人事のほうに話しておくけど」
「本当ですか?」

 ありがたい提案に表情が明るくなる。

 私は小さなころから海外で暮らすことに憧れ、英語を学んできた。

 事情があって海外生活はあきらめたものの、身に着けた英語のスキルを活かせる仕事に就きたいと思っていた。

 なかなか希望の仕事が見つからず、契約社員としてこの職場で働き始めたのは二年前。
 気づけばもうすぐ二十五歳になる。
 このままずっと契約社員でいいのか、迷っていたところだった。

「契約終了まではまだ一カ月あるから、考えておいてくれ」
「はい。ありがとうございます」と深く頭を下げる。そんな私を見て部長がなにかに気がづいたように手を止めた。
「早川さん、もしかして今日は用事があった?」
「え?」
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