極甘恋愛短編集
氷王子が変な質問をするんだなと笑うので、また私の心臓が大きくはねた。


「クラスではあまり話さないし、私転校生だから覚えられてるのかわからなくて」


「ちゃんと覚えてるよ」


その言葉に嬉しくて巻いがってしまいそうになる。


「俺のことも、色々聞いてるんだろ?」


不意に声のトーンが低くなった。


眉間にシワを寄せて真剣な表情をしている。


私は一瞬言葉を喉につまらせたけれどここで嘘をつくことはできないと覚悟を決めた。


「うん。氷王子って呼ばれてるね」


できるだけ明るい調子で言った。


しかし氷王子は眉間にシワを寄せたままで「それに悪魔王子とも?」と聞き返す。


私はハッと息を飲んで氷王子を見つめた。


今の一言で西原くんは王子なんて呼び方を望んでいないことが透けてみえてしまった。


嫌ように顔を歪めてため息を吐きだす。


「どうして、学校ではこんな風にしないの?」


私は子猫へ視線を移動させて聞いた。
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