極甘恋愛短編集
そんな不便なスマホに逆戻りするなんて考えただけでも恐ろしい。


「もう少し健康的なものに興味を持てよ」


「ゲームが不健康だって言うの?」


「そうじゃないけど、美奈この使い方は不健康だと思うけど?」


突っぱねるように言う聖也に私は頬を膨らませた。


確かに最近はゲームのしすぎかもしれないと自分でも思っていたところだった。


でもそれを指摘されるとなんだかムッとしてしまうのはどうしてだろう。


どうして素直に頷くことができないのかな。


そんな風に考えてしばらく沈黙が流れた時、民家から一匹の猫が飛び出してきた。


白猫には首輪ははめられておらず、最近ここでよく見かける猫であることがわかった。


この春に生まれたばかりのようで、その体はまだまだ小さい。


「あ、猫!」


さっきまでゲームの話で少し気分が落ちていたけれど、猫を見た瞬間そんな気持ちは一気にかき消されてしまった。


私は幼い頃から動物が大好きで、特に猫を見たら追いかけずにはいられない。


その小さな体を抱っこしたい。


綺麗な毛並みをなでたい。


肉球を指先でプニプニしたい!
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