ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。




「浅倉、大丈夫かな…?李衣とも別れちゃったしさ、いろいろ心配だよね」


「うんうん。李衣もずっと元気ないし…」



楓花以外のクラスメイトの女子たちも、いつも私たちを気にかけてくれる。

楓花は楓花で今みたいにほっこりする話題を持ってきては、踏み込みすぎず私の傍にいてくれて。


みんなに感謝している毎日だった。



「そういえばうちのお父さんの知り合いがさ、交通事故に遭ったんだよね最近」


「え、そうなの…?」


「うん。バイク事故。かなりの重体らしくて」


「うわ~、バイクはヤバいって聞くよね」



お弁当を見つめていた私の耳に、斜めうしろから届いてくる会話。



「頭を打ったらしくて、半身不随になっちゃって。もうほとんど寝たきり状態らしいんだ」


「ええ…」


「なんかさ、それ聞いて思ったの」



親近感が湧いてしまったのは、毎日のように検索するなかで出てきていたから。

運動障害が見られる難病を調べると、必ず身体的麻痺が関連に出てくる。


何より“寝たきり”というワード。

ピクッと、思わず反応してしまった。



< 162 / 364 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop