ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。




パチンっ、びよーん、ぺちんぺちん。

いたい…、
なにをしても痛みがある。



「あっ、お昼っ、お弁当…!浅倉くんもここで一緒に食べるっ!?ちょっとまってね場所を空け───」


「青石さん、」


「わっ…!」



意識を取り戻してから、すぐに立ち上がって浅倉くんも座れるスペースを作ろうとすれば。

動きを止めるかのように掴まれた腕。



「お弁当、持って」


「えっ、あ、…はい、」


「行こう」



そのまま引かれるままに、教室を出てしまいまして。

聞こえない、なんにも聞こえないよ。

クラスメイトたちの声なんて私には聞こえてない。


ただ見惚れてしまう背中と、サラサラ揺れる髪の毛と、ふわっと届いてくる石鹸の香りと。

握られた手の、じわっと伝わってくる熱と。



「ここで…、食べるの…?」


「うん」


「美味しさ…感じられる……?」


「青石さんとなら俺はどこだっていい」



そんなサラッと言わないでよ浅倉くん…。

ドキドキがドキドキを越して、もうばっくんばっくん、口から心臓が飛び出たらどうしてくれる。



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