ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。




私は消えないよ…?
びっくりしたけど、嬉しいんだよ…?

たとえそう言ったとしても変わらないんだろうと思ってしまう、浅倉くんの腕のなか。



「ああいうの…俺あまり好きじゃなかったんだけど、……でも本当はもっと一緒に居たかった」



思わず背中に腕を回した。

きっと私のほうが浅倉くんより強い力で抱きしめてしまってる。


嬉しさと切なさに、全身が震えた。



「前…ひどいことたくさん言ってごめん」


「ううん…っ」



数時間前の私、あんな言葉は取り消して。


浅倉くんは私以外の女の子とも付き合ってる───なんて。


そんなのあるはずがないって分かるでしょ、このぬくもりは。

まだ物足りなさもある高校1年生の男の子の体温へ、顔を埋めるように頬を寄せた。



「私こそごめんね…っ」


「……りい、」


「っ…!」



初めて呼ばれた、私の名前。


ちはやくん、千隼くん───。

冷たい空気に消えてしまわないように、私も何度も何度も呼び返した。



「今日の青石さん、…俺のために特別にしてくれたって思っていい…?」


「うん…っ、浅倉くんもいつも以上に格好いいよ…!」


「…青石さんも」



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