僕は君に毎日恋をする
そんな時だった━━━━━━

ある日の晩。
乃蒼は、ベランダで煙草を吸いながら空を見上げていた。

夜の静かな一人のこの時間が、乃蒼のお気に入りだ。

突然、スマホが鳴り出す。
「………ったく…また、高敏かな?」

少しムッとして、スマホ画面を見る。

「え━━━━」
乃蒼は、目を見開いた。

“小宮山 羽衣”

羽衣から連絡が来ることなんて、滅多にない。
その為、乃蒼は思わず固まる。

すると、切れてしまった。

「あ……」
(せっかくかけてきてくれたのに……)

慌てて、かけ直した。

『はい、西蓮寺さん?』
「うん!ごめんね、取り損ねちゃって……」

『いえ』
「どうしたの?」

『あ、あの…西蓮寺さん、今忙しいですか?』

「ううん!煙草を吸ってゆっくりしてた」

『あの……もしご迷惑じゃなければ、今から会えませんか?』

「え?」
(え?え?デートの誘い?
いやいや、もう22時過ぎてるし、そんなわけないか!)

『ご、ごめんなさい!やっぱ、ご迷惑ですよね?
やっぱりいいです!
すみません!』
「あ!待って!!
全然、迷惑なんかじゃないよ!
今から行くね!
15分もあれば、小宮山さんの家に着くよ!」

『あ、違うんです!
私今、◯◯駅のコンビニにいて……
そこに来ていただけると……』
「コンビニ?
うん、わかった!」

『…………良かった…』

さっきまで羽衣からの連絡に興奮していて気づかなかったが、羽衣の声が少し…震えていた。

乃蒼は、急ぎ足でコンビニに向かった。

コンビニに着くと、奥の方に羽衣がいた。
「小宮山さん!」
「あ…西蓮寺さん!ごめんなさい!こんな遅くに呼び出して……!」

すがるような羽衣の視線と雰囲気に、乃蒼は胸が締めつけられていた。

「どうしたの?」
「あの、コンビニの外に、黒いTシャツの男の人いなかったですか?」
「え?
あー、煙草吸ってた」

「まだ、いるんだ……」
ブルッと身体を震わせて呟く、羽衣。

「え?その人が何?」
「それが……」

羽衣の話では、最近男につけられていて、最初はたまたま同じ帰り道だと思っていたが、どうも自分の後をつけてきているようだと言う。

今日も一緒の電車に乗っていて、怖くなり咄嗟にコンビニに入ったそうなのだ。
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