甘くてこまる

「秘密」



𓐍
𓏸




一夜明けて、翌朝。




「せーら、おはよ」

「ひぎゃっ!?」

「あは、なにその声。かわいい」

「なっ、なんで、郁がいるの……っ?」





耳もとで囁かれて、飛び起きた。

寝ぼけまなこを擦るまでもなく、一気に覚醒。


朝いちばんにはふさわしくない大ボリュームで悲鳴を上げて、唇をわなわな震わせる。





「どこから入ってきたのっ?」

「うん? ふつーに、窓から。ていうか、せーら、ちょっと無防備すぎない? 鍵かかってなくて焦ったんだけど」

「たまたまかけ忘れただけだもん、それを言うなら郁のほうがひどいよ」





いつもはちゃんと戸締まりして寝てるんだよ。


昨日はあれだ、きっとぼーっとしていて、うっかり鍵を確認せずにベッドに入っちゃっただけ。


毎晩、鍵開けっぱなしの郁に言われたって、まるで説得力がない。




< 24 / 81 >

この作品をシェア

pagetop