【完結】借金返済のために結婚したのに、いつの間にか愛で包まれていました。


 私は泰裕さんの手をぎゅっと握りしめると、泰裕さんを見つめる。

「泰裕さんと出会えたから、こんなに素敵な星が見れました」

「……確かに。今日は一段とキレイに見えるな」

「はい。 とてもキレイです」

 こんなに素敵な星を見れるなんて、とても素敵だ。素敵な夜になりそうだ、今日は。

「花純と一緒に見る星は、格別だな」

「……嬉しいです」

 特別感がある夜は好きだ。 想いが通じ合ったからこそ感じる特別な夜。

「……花純」

「はい?」

 顔を上げて泰裕さんを見ると、泰裕さんは優しい声で「花純、お前が好きだ」と呟く。

「……泰裕、さん」

「お前をもう絶対に離さないから、覚悟しておけよ」

「……はい」

 こんなに好きになってしまったら、私はもう後戻りは出来ないだろう。 誰かを愛するという素晴らしさを教えてくれたのは、確かに泰裕さんだから。

「花純……結婚指輪、後で買いに行かないとな」

「え……?」

「結婚指輪、買いに行こう。後で、一緒に」

 結婚指輪というワードを聞いて、ビックリして思わず目を見開いてしまった。

「結婚……指輪?」

「必要だろ?結婚指輪」

 その答えに、私は「はい。そうですね」と答えた。
< 40 / 44 >

この作品をシェア

pagetop