RED&BLACK
「アーシャ・アルロフスカヤよ。裁縫や猟師、畑仕事、何でもしてるわ。よろしくね」

「ユーゴ・アーレント。この家のリーダーをやってる」

金髪の女性と黒髪の男性も自己紹介をし、シェラも自分の名前とここに来るまでの経緯を話した。話していくうちにみんなのどこか警戒したような顔は少しずつ変化し、最後は泣いている者までいるほどだった。

「ユーゴ、可哀想だからここに住まわせてやろうぜ。一部屋余ってるし」

涙を拭いながらローランが言い、残りの五人も首を縦に振る。ユーゴはシェラを見ながら少し考えた後、フウと大きく息を吐いて言った。

「働かざる者食うべからず、これがこの家の掟だからな」

この家に置いてもらえる、そのことにシェラは安心し涙で瞳を潤ませながら「ありがとうございます」と言いながら頭を下げる。

普通のどこにでもいる女の子にやっとなれたような気がした。



その日からシェラの毎日はガラリと変わった。シェラは家事全般を担当することになったのだが、ここにはシェラに暴言を吐く者はおらず、暴力を振るわせることもない。
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