RED&BLACK
「皆さん、今日はサタン様のお告げにより集まっていただき、ありがとう」

ジュゼッペがそう言うと、それまで一言も発さなかった人々が口々に言葉を話し始める。そして、「サタン様に、全ての悪魔たちにお祈りを!」と誰かが言い、お祈りの時間が始まった。

ボーデン家は、代々悪魔崇拝をしている家として有名である。神ではなく悪魔を信仰していることから、他の貴族たちからは煙たがられ、社交界に出ることはない。そのため、一族全員がお告げがあった時にこうして集まっている。誰が占ってどうお告げがあるのかはシェラにはわからないが……。

奴隷同然のシェラがこの異様なパーティーに連れて行かれるのは、ナターリアとジュゼッペの子どもだからではない。シェラはある役目があるからだ。

「シェラ、半年前に会った時より綺麗になっているわね。さすがはサタン様の花嫁だわ〜」

親戚たちがシェラを見て口々に言う。シェラはただ作り笑顔を浮かべ、「ありがとうございます」と返す。その心の内側には、いつか訪れる日の恐怖があった。
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