if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~

空を見上げながら他の皆と一緒に職員用駐車場にいた。朝から少しだけ雲行きが
怪しい、気温も今日は低いみたい。
厚い雲が太陽を遮っていたし、今にも雨が降りそうだった。

突然に私の立つ目の前に高級スポーツカーが横付けされ、助手席の窓がスーッと
下がり、中から若い研修医が声をかけてきた。

「薫先生ッ!僕の助手席乗ってッ!」

一緒に待っていた若いナース達の”ええーッ!”っていうどよめきに苦笑いしながら、 ”いえいえ、とんでもない他の方をどうぞ”と軽くお断りしたのだが。

「ダメだよ~ッ!薫先生! ちゃんと応じてくれなきゃ!」
「木村先生、、」

車から降りてくると、助手席のドアを開き強引に乗せられてしまう。
木村先生は爽やかな笑顔でウインクすると、周りにいた看護師から悲鳴が
聞こえる。

「薫先生、雨が今にも降って来ますよ! シートベルトして」

木村先生に若い看護師たちは熱をあげてる子が多いみたいだし実際、そこら
辺の俳優より素敵な容姿をしていると思う。
初期研修期間で今年2年目になるというが、そろそろ後期に備えて専門を選ぶ
ことになるだろう。循環器内科には興味があるというか、俊を信頼してて目標に
してるって木村先生に聞いたことがある。
だからか、この歓迎会も参加するんだわと納得する。

無理やり乗ることになった木村先生の車の助手席だけど、
後部座席の3名の若い看護師たちがギューギューなのには申し訳ない。

「ごめんなさいね、私だけ何だかゆとりがあって」
「大丈夫ですよ、大澤先生なら木村先生は戦力外でしょ?」
「はい?」

真ん中に座る看護師にそう言われ、苦笑いをして木村先生を
みると、おどけるように言った。

「そうかなぁ~? 薫先生、僕ならOKですよね?まぁ、、、そうはいかないと思うけど、、」
「後で交代しましょうね」

そう言うと、睨まれてしまった。
”ねぇ・・勘弁してよッ・・ 別に助手席でなくてもいいから~~”

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