御曹司の溺愛から逃げられません
「社長。お呼びいただいた件は何でしょうか?」

「あぁ。橘建設の創立記念パーティーの同伴を頼みたい。5月最後、来週金曜の夜なんだ」

「同伴ですか? 私にはまだ出来ません。立川さんか他の秘書室の方にお願いしてください」

滅相もない、と私は首を横に振った。
いくら仕事とはいえ出来ない事もある。私にはまだ荷が重い。

「俺は香澄に同伴を頼んでいるんだ」

いつもよりも強めな語気で言われてしまった。仕事なので命令とも言える。それを断るなんて出来ない。

「……かしこまりました」

私は頭を下げると社長室を後にした。
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