目の前の幸せから逃げないで

私が 涙を 見せてしまったことで

光毅の 就職話しは そのまま うやむやになってしまった。


翌日から また 私達は 忙しさに 流されていた。

休暇明けの 忙しさから 解放されたのは

まもなく 8月が 終わる頃。


「銀行に行って、その後 鈴香の家に 寄ってくるわね。」

私は 光毅に声をかけて 事務所を出た。


もう 鈴香に 隠したままでは いられない。

光毅を SNOW BELLに 就職させるとしても 

鈴香に 相談しないで 決めることは できない。


「はい。気をつけて。」

一瞬、何かを 問いたそうに 私を見たけど。

光毅は 何も言わないまま 私を 送り出してくれた。


朝、鈴香に 訪問のメールをした私。

鈴香は わざわざ 訪ねる私を 不審に 思っているだろう。

『 了解。待ってます。』

と返事が 届いていたけど。


私から 光毅のことを 聞いたら 

鈴香は どんな顔を するだろう。


緊張と 不安を抱えて。

少しだけ ワクワクしている 自分に 呆れて。

私は 鈴香の家へ 急いだ。






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