キラリの恋は晴れのち晴れ!

第42話 嵐の前ぶれ

キラリは動揺しながらリビングに降りてきた。
この日は珍しく父、清も早起きして薫とコーヒーを飲んでいた。

キラリ「母ちゃん………」

キラリは落ち込んでいるかのような表情で薫に言った。

薫「おはよう!どうした?」

キラリ「母ちゃん……またやられちゃった………」

それを聞いた清が、飲みかけていたコーヒーを吹き出した。

ブフォッ!

清「キ………キラリ………またって………まさかお前………もう何回もヤラれちゃったのか!?」

キラリ「えぇ?うん………まぁ………」

清「うん、まぁって………お……お前……そ……そんなまさか………」

清は口に手を当てて目を丸くしている。
薫は悪のりして

薫「パパ、キラリだってもう年頃なんだから!」

キラリはそんな年頃があるのかと頭を傾げている。

清「マ……ママ!キラリはまだ高校生なんだよ?な……なのに……そんな………」

薫「パパだって昔、まだ私が高校生だった頃に何をした?」

清「え………そ………それは………」

キラリ「えぇ!?父ちゃんも母ちゃんにそんな酷いことをしたの!?」

清「えぇ!?いや………」

キラリ「父ちゃん酷い!!!女の子からしたらけっこうショック大きいんだよ!」

清「えぇ!?ショ………ショック?」

キラリ「母ちゃんに謝れ!!!」

清「あ……あの……もう随分と昔の話しだし……」

キラリ「母ちゃん………どうすればいい?」

清「キ………キラリ………ま……まさか………取り返しの付かないことに?」

キラリ「は?」


と、そのとき翼があくびをしながら階段を降りてきた。

清「キラリ!俺に任せろ!俺がちゃんときつく言ってやる!」

清は恐い顔をして翼を睨み付ける。

翼「あ………皆さんお揃いで………おはようございます」

薫「おはよう!」

清「ママ、ちょっと黙っててくれ!」

清はそう言って翼の方を向いて

清「翼!ちょっとそこへ座りなさい!」

翼は訳がわからず、清の機嫌が悪そうなので黙って食卓テーブルの椅子を引いて座った。

清「翼………ウチのキラリはまだ高校生なんだ!」

翼「まぁ、そうっすね………」

清「なのに何をしてくれてんだ!!!」

翼「え?何をって………まぁ、勉強教えたり………」

清「ちがーう!ウチのキラリにちょっかいかけて!しかも………責任取れるのか!」

翼「ちょっかい?あぁ………いや………ちょっとキラリいじったら面白くてつい………」

そのとき薫が割って入った。

薫「パパ!!!あんたこそ何を勘違いして翼を責めてんのよ!

清「え?」

キラリ「父ちゃんさっきから何をそんなに怒ってるの?」

清「え?だって………」

清は娘が大変なことになってるにもかかわらず、皆が意外にも呑気に構えてることに対して困惑していた。

キラリ「母ちゃん!翼がまた私をもてあそんで来たんだよ!」

清「や……やっぱりもてあそんでいたのか!」

翼「いや……もてあそぶっていうか……キラリの方が寝込みを襲って来たんで………」

清「キ…キ…キキキ……キラリから!?はぁ!?」

キラリ「別に寝込みを襲ったわけじゃ無いよ!いつもやられてる仕返ししてやろうと思ったんだけど……逆にまたやられちゃったっていうか……」

清「ね………寝込みを!?ヤラれちゃった!?」

薫「結局翼の方が上手(うわて)だったってことだね」

清「ママ!いったいこの二人はどうなってるんだ!」

そのとき薫とキラリが同時に

薫・キラリ「うるさい!!!」

と怒鳴った。


キラリと翼は、朝食を終えてからキラリの部屋へ戻った。


翼「なぁ、キラリの父ちゃん何か勘違いしてなかったか?」

キラリ「うーん……何であんなに怒ってたんだろうね……」

翼「それよりさぁ………お前………さっき耳元で何か言ってたよなぁ?」

キラリ「だっ………だから翼は覚えてないって言ったじゃん!」

翼「あぁ……言った」

キラリ「じゃあ良いじゃん!」

翼「お前が入ってくる前のことは全く覚えてないんだよな………」

キラリ「じゃあやっぱり全部知ってんじゃん!!!あぁ恥ずかしい………」

キラリは顔を真っ赤にして怒った振りをする。

翼「キラリ………お前………」

キラリは翼が何を言い出すのかとドキドキして待つ。

翼「もし……………俺が……………お前を……………」

キラリは目を震わせながら翼の目を見つめる。
翼もクールを装ってはいるが、緊張の色は隠せない。

翼「お前を………俺の……………」

そのとき翼のスマホにまた陽気なメロディーが流れ出した。

翼「チッ………またかよ………」

翼は大事なところを邪魔されたと言わんばかりに舌打ちをしてズボンのポケットからスマホを取り出し、その画面を見て

翼「今度は姉貴からだよ………」

キラリも、翼の口からどんな言葉が飛び出して来るのかと期待していただけに、落胆の表情を隠すことは出来なかった。

翼「もしもし?どうした?」

翼の姉「もしもし?翼!!!」

翼は姉から聞かされた言葉に絶句し、思わずスマホを床に落としてしまった。
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