俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
そんな事があったなんて…。

果穂が今、無事に生きているのは母親が、命に変えて守ってくれた奇跡なんだと改めて知る。

線香を上げて手を合わせる。

果穂を守ってくれてありがとうございます。と、心でお礼を言う。

「お母さんのおかげで果穂さんが今無事でいる奇跡を、有り難く思います。」
そう果穂の父に言って頭を下げる。

「しんみりしてしまって悪かったね。」
そう父は言って立ち上がる。

隣のこたつの部屋に戻ると、果穂は3人分のお茶を持って来てくれる。

「狭い家でごめんね。翔君には窮屈だろうけど。」

「いえ、とんでも無いです。
実はこたつは初めての体験で嬉しいです。」

他人と余り深く関わる事の無かった俺は、誰かの家に行くと言う行為事態、あまりしていなかった。

「こたつが初めてなんですか⁉︎」
果穂がびっくりして目を大きくしてこっちを見る。

「東京はこたつを、使わないのか?」

「そう言うわけでは…
多分、僕の周りにこのような暖かい家庭が少なかったので。」

「翔君のご家族の話しを聞いてもいいかい?」

「はい、父も会社を経営しています。
母とは子供の頃に離婚していて、それから一度も会っていません。
中学の頃に父は再婚して、高校生の義弟がいます。」
果穂にも以前話した様に、家族の事を淡々と話す。
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