俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
果穂の父とそれから2人で熱燗を5本飲み、父は酔っ払ってこたつで寝てしまう。

翔はまったく顔色も変わらず、果穂の後片付けを手伝い土鍋や皿を運ぶ。

「翔さんお客様だから座ってて下さい。うちの男性陣はまったく手伝いとかしませんから気にしないで下さい。」

「1人でやるより2人の方が早く片付くだろ。」
そう言って果穂が洗った皿を水に流して乾燥機に入れて行く。

「翔さんて社長さんなのに結構なんでも手伝ってくれますよね。そう言うとこ偉いです。」
子供を誉めるみたいに褒められて歯痒い。

「皿洗いに社長も何も無いだろ?
学生時代は資本金を稼ぐ為にかなりバイト掛け持ちしてたし。」

「苦学生だったんですね。」

「親から学費と生活費はもらってたから、中途半端な感じだけどな。」

「いつからお父さんに会ってないんですか?」

「大学四年の時に会社は継がないって宣言してからずっとだな…。」

「7年くらい経つんじゃ無いですか…向こうからは何の連絡も無いんですか?」

「弟がたまにメールして来る。内容はほとんど見合い話しだ。親に頼まれて仕方なくだろきっと。俺もあの人も忙しいしな。」

「寂しいですね。なんだか…お父さんもきっと意固地になっちゃってるんじゃ無いですか?」

「そんな果穂が思う様な人間じゃ無いよ。自分の利益の為なら誰かれ構わず切り捨てる様な人だ。」

「果穂のお父さんは良いお父さんだよ。
心が広くて、俺みたいな男でも初めから受け入れてくれた。」

「ただの農家ですよ。酔っ払っいだし、
でも優しさは人一倍です。男手1人で3人の子供を育ててあげた人ですから。」
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