俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
健君は部活の話しやお母様の話しもいろいろしてくれた。

突然、健君が穏やかな顔を一瞬曇らせるから気になる。
「何かあったんですか?」

「いえ…、あの多分、遅かれ早かれ果穂さんには接触して来ると思うので…言っておきますが。」
そう言って話をくぎり、健君はコーヒーを一口飲む。

「父は兄をあるご令嬢と結婚させたいらしく…躍起になっています。
以前から何度か兄にお見合いをする様に仕向けてるんですが、兄もテコでも動きませんから安心してたんです。だけど、今回ばかりは本気みたいで…。」

「そんな、お話があるとは知らず…。
私、こちらに来てしまって…良かったのでしょうか…。」

「あの、すいません。不安にさせて…
兄は身内の僕さえなかなからこの部屋に入れてくれなかった人ですから、貴方の事はとても大事にしているんだと思います。」

「私、何も知らず…
もちろん御曹司だって事は聞いていたのですが、ちゃんと翔さんの立場を理解していなかったんだと…。」

「あの!全然、それで良いんです!
兄もそんな貴方がきっと良かったんだと思いますし。」
被せ気味にそう言って弱気になった私を安心させてくれる。

「こう言う家に生まれると、嫌でも肩書きや家柄で近付いて来る人って結構いますし、そう言う人間に嫌悪感を抱いてしまいます。
だから、自分自身を見てくれる人を兄は見つけたんだと…
僕としては応援したいんです!2人の事を。」
そう言ってくれて元気付けてくれる。
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